朝、子どもに「学校行きたくない」と言われて、胸がぎゅっと苦しくなる。
そんなことはありませんか?
- 仕事に遅れる
- 登校班の子を待たせてしまう
- 先生にどう思われるか気になる
- このまま不登校になったらどうしよう
- 甘やかしていると思われないか不安
そんな思いが一気に押し寄せて、つい強い口調になってしまうこともあります。
でも、子どもの「学校行きたくない」は、単なるわがままではない場合があります。
特に発達障害や発達特性のある子どもは、私たちが思う以上に、学校でかなりのエネルギーを使っています。
この記事では
- 子どもが学校に行きたがらない背景
- 親がイライラしてしまう理由
- 無理に引っ張っていく前にできる関わり方
- 学校に行けるようになった家庭で起きていた変化
をペアレントトレーニングの視点からお伝えします。
「行きなさい!」と怒鳴ってしまう朝がある
行き渋りや不登校の相談では、保護者からこんな声をよく聞きます。
「仕事があるから、本当に困る」
「朝、支度に時間がかかって登校班の子を待たせてしまう」
「行くと言っていたのに、玄関で急に気持ちが変わる」
「結局、私が怒鳴ってしまう」
これは、保護者が冷たいからではありません。
朝は時間がありません。
仕事もある。
周りの目もある。
「迷惑をかけてはいけない」
「ちゃんと行かせなければいけない」
という思いが強いほど、親も追い詰められます。
だからまず、保護者自身も自分を必要以上に責めないでほしいのです。

「学校行きたくない」の裏には、いろいろな理由がある
子どもが学校に行きたがらない理由は、一つではありません。
そこには必ず背景があります。
例えば
- 朝の支度がうまく進まない
- 登校班がプレッシャーになる
- 教室の音や刺激がしんどい
- 友達関係で気を張っている
- 先生の指示が多くて疲れる
- 予定変更が苦手
- 失敗したくない
- 学校で頑張りすぎている
なども多い理由です。
特に発達特性のある子どもは、周囲が思っている以上に、学校生活のさまざまな場面で多くのエネルギーを使っていることも少なくありません。
「学校に行きたくない」という言葉の奥には
「もう頑張れない」
「どうしたらいいかわからない」
「少し休みたい」
というサインが隠れていることもあります。

「行かせる」だけが正解ではない
もちろん、学校に行けることは大切です。
学びの場があり、友達との関わりがあり、生活リズムも整いやすくなります。
でも、毎朝泣き叫ぶ子どもを無理やり引っ張って連れていくことが、いつも最善とは限りません。
あるお母さんは、以前は、お子さんを無理やり学校へ連れて行っていました。
でも、親子で苦しくなっていました。
そこで、少しずつ関わり方を変えていきました。
- 子どもの気持ちに共感する
- 「今日は何時間目まで出る?」と選択させる
- 思い切って休む日を決める
- 行けた・動けた・話せたなど、小さな行動に注目する
- できていることへの声かけを増やす
すると、少しずつ変化が出てきました。
「休ませたら、ずっと行かなくなるのでは?」
「選ばせたら、楽な方ばかり選ぶのでは?」
そう不安になる保護者の方もいます。
でも、選択肢を渡すことは、子どもの言いなりになることではありません。
例えば
- 1時間目から行く?2時間目から行く?
- 教室に入る?保健室から始める?
- 今日は登校だけして帰る?
- 明日は先生に相談してみる?
このように、「全部行くか、全部休むか」ではなく、間の選択肢を作ることもできます。
子どもにとって大切なのは、「自分で決められた」という感覚です。
この感覚は、次の一歩を踏み出す力につながります。
この感覚があると、少しずつ次の一歩を踏み出しやすくなることも少なくありません。

親の「べき」が強いほど、朝は苦しくなる
行き渋りの相談では、保護者の中にある「べき」が強く働いていることも少なくありません。
- 学校は行くべき
- 登校班に迷惑をかけてはいけない
- 朝は時間通りに動くべき
- 親がちゃんと行かせるべき
- 人に迷惑をかけるのは恥ずかしい
もちろん、どれも大切な考えです。
でも、その「べき」が強すぎると、親も子どもも追い詰められてしまいます。
子どもが動けない時、親の頭の中では
「早くして」
「みんなを待たせてる」
「また迷惑をかける」
「なんで行くって言ったのに変わるの」
という思いがぐるぐるします。その結果、怒鳴ってしまう。
そして親も自己嫌悪になる。この悪循環は、本当に苦しいです。
まずは「行けたか」より「何がしんどいのか」を見る
ペアレントトレーニングでは、子どもの行動だけを見るのではなく、行動の前後や背景を見ることを大切にします。
「学校に行かない」
という行動だけを見ると、問題に見えることがあります。
でも、少し視点を変えてみると
- 朝の見通しが持てていない
- 登校班がプレッシャー
- 学校で疲れ切っている
- 先生や友達との関係で緊張している
- 体や心に限界が来ている
など、背景が見えてくることも少なくありません。
行けたか、行けなかったか。
それだけで判断するのではなく、「何がしんどかったのかな?」と見ていくことが大切です。

「仕事を休めない」問題も、保護者を追い詰める
行き渋りや不登校の話になると、必ず出てくるのが、「仕事をどうするか」という問題です。
特に発達特性のある子どもの場合、「一人で家に置いておけない」という悩みを抱える家庭も少なくありません。
一般的には、留守番できる年齢だったとしても
- 不安が強い
- パニックになる
- 衝動性がある
- 生活管理が難しい
- 安全面の不安がある
などの理由で、保護者が仕事を休まざるを得ないケースがあります。
でも現実には、
- 毎回仕事を休めない
- 職場に理解されない
- 退職を考えるほど追い詰められる
- フリースクールやシッターは費用が高い
- 頼れる人がいない
という家庭も多くあります。
だからこそ、行き渋りや不登校は、単なる「学校へ行く・行かない」の問題ではなく、家庭全体の生活や人生に大きく影響するテーマでもあります。
もちろん、家庭によって選択肢や状況は違います。
でも私は、「学校へ行けない=家に閉じこもるしかない」ではないと思っています。
例えば
・朝から放課後等デイサービスを利用する
・訪問看護を活用する
・学校以外の公的な居場所を利用する
・フリースクールや別室登校を検討する
・学校・療育・行政と連携する
など、今は以前よりも選択肢が増えてきています。
また最近は、学校以外の居場所でも、条件によっては出席扱いになるケースもあります。
大切なのは、「もう無理だ」で終わるのではなく、「どうしたら続けられるか」「どんな形なら安心して社会とつながれるか」を、一人で抱え込まずにみんなで考えることです。
仕事も、生活もあります。
だからこそ、家庭だけで抱え込まず、学校・療育・行政などと相談しながら、使える支援を一緒に探していけたらと思います。
保護者が追い詰められてしまう背景には、こうした現実的な問題もあることを、社会全体で知っていく必要があると感じています。

支援者に知ってほしいこと
支援者にも、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
行き渋りや不登校のお子さんを持つ保護者は、毎朝ものすごく悩んでいます。
・仕事に行けない
・周りに迷惑をかける
・学校からどう見られるか不安
・子どもに怒ってしまう
でも、どうしたらいいかわからない。
そんな中で、保護者は毎日揺れています。
だからこそ、支援者が
「お母さん、お父さん、もっと頑張ってください」
「連れてきてください」
だけで関わると、保護者はさらに追い込まれ、孤独になります。
保護者に必要なのは、責められることではなく、一緒に考えてくれる人の存在です。
家庭・学校・療育先で一緒に考える
行き渋りや不登校は、家庭・学校・療育先などが連携し、一ヶ所だけで判断しないことが大切です。
- 朝、どの場面で止まりやすいのか
- 学校で疲れやすい時間はいつか
- 登校班が負担になっていないか
- 教室以外の居場所はあるか
- どこまでなら参加できそうか
- 子ども本人はどうしたいのか
こうしたことを一緒に整理していくことで、子どもに合った形を見つけていく必要があります。
大切なのは、「学校に行くか、行かないか」だけではなく、「どうすれば安心して一歩を出せるか」を考えることです。

まとめ|「学校行きたくない」は、子どもの大切なサインかもしれない
子どもに「学校行きたくない」と言われると、親は本当に不安になります。
でも、その言葉は、子どもが出している大切なサインです。
だからこそ
- 無理やり引っ張っていく前に背景を見る
- 子どもの気持ちに共感する
- 小さな選択肢を渡す
- 行けた・話せた・動けたなど、小さな行動を見る
- 学校や支援先とよく相談する
そんな関わりを大切にしていきましょう。
当協会では、ABA(応用行動分析学)や脳科学、認知行動療法などをベースに、保護者向け・支援者向けのペアレントトレーニング講座を行っています。
「子どもの行き渋りに悩んでいる」
「保護者支援でどう関わればよいか悩んでいる」
そんな方にとって、少しでも子どもを見る視点が変わるきっかけになれば嬉しいです。
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