ペアレントトレーニングは意味ない?効果が出る家庭と出にくい家庭の違い

「ペアレントレーニングって本当に効果があるのですか?」

最近、よくいただく質問です。

子どもが大きくなってからでも有効なのか。
二次障害が出ていても意味はあるのか。
虐待ケースにも有効なのか。

日本ペアレントトレーニング子育て支援協会の見解を、率直にお伝えします。

目次

■ペアレントレーニングは万能ではない

まず前提として、ペアレントレーニングは、“魔法”ではありません。


ペアレントレーニングは「問題が初期段階で、保護者が学び実践できる状態」にある家庭では効果が出やすいプログラムです。

一方で、

・子どもや保護者の安全が心配な状態
(強い暴力や危険な行為がある場合など)
・保護者が重度の精神的不調を抱えている
・親子関係が長期にわたり深刻化している

このような場合には、ペアレントトレーニング単独では十分ではありません。

当協会では、ペアレントレーニングを家庭支援の「土台」と考えています。

その上で、必要に応じて、医療・学校・福祉などの専門機関と連携しながら支えていくことを大切にしています。

■効果が出やすい家庭の特徴

次の項目に多く当てはまるほど、効果が出やすい傾向があります。

□ 子どもの問題行動が始まって間もない
□ 子どもが未就学〜小学校低学年
□ 保護者が「変わりたい」「学びたい」と感じている
□ 学んだことを家庭で実践する時間を確保できる
□ 家庭が完全に孤立していない
□ 子どもの特性を理解しようとする姿勢がある

これらが揃っている場合、関わり方の変化が比較的早く行動に反映されやすくなります。

ペアレントレーニングは、子どもを直接変えるものではなく、親の見方と関わり方を変えるプログラムだからです。

環境が変われば、行動が変わる。その積み重ねが効果につながります。

■効果が出にくい(単独では難しい)家庭の特徴

次のような場合は、ペアレントレーニング“だけ”では十分ではありません。

□ 現在進行形で安全確保が必要
□ 保護者が精神的に不安定
□ 子どもに強い二次障害が出ている
□ 親子の関係が長い間うまくいっていない
□ 多職種での連携が必要なケース

この場合は、医療・学校・福祉などの専門機関と連携して進める必要があります。

ペアレントレーニングは、緊急事態をすぐに止めるためのものではありません。
でも、状況が落ち着いたあとに、同じことを繰り返さないための「関わり方の土台」になります。

■なぜ「もっと早く知りたかった」と言われるのか

受講生から最も多く聞く言葉は、「もっと早く知りたかった」です。

問題が大きくなってから取り組むと

・二次障害が重なっている
・親子関係がこじれている
・保護者が強い疲労や無力感を抱えている

という状態になっていることが少なくありません。

ペアレントレーニングは、子どもを一瞬で変える魔法ではありません。

しかし、

・叱責の連鎖を減らす
・親の無力感を和らげる
・子どもの自己肯定感の低下を防ぐ

といった「関わり方の土台」を整える力があります。

叱責や孤立が長く続くと、子どもの二次障害だけでなく、親の強い疲弊や関係の悪循環につながることがあります。

その悪循環がさらに深刻化すると、虐待など、大きな危険に陥ることもあります。

だからこそ、小さな違和感の段階で、関わり方を見直すことが重要です。

ペアレントレーニングの価値は、「問題が起きたあと」よりも、「問題が大きくなる前」にこそ発揮されます。

■当協会の立ち位置

当協会は、「困ってから駆け込む場所」ではなく、「困る前に力を育てる場所」でありたいと考えています。

重度の育児ストレス、親のうつ、虐待、子どもの二次障害などは、ある日突然始まるわけではありません。小さな誤解や孤立、叱責の積み重ねから始まります。

その連鎖を、できるだけ早い段階で断ち切る。それがペアレントレーニングの本質的な役割だと考えています。

■早期介入を「当たり前」にするという提案

受講生から、印象的な声をいただくことがあります。

「母親学級で、沐浴よりも先にペアレントレーニングを教えてほしかった。」

「乳幼児健診に組み込まれていたら、どれだけ救われただろう。」

これは個人の感想ではなく、構造の問題だと当協会は考えています。

現在の子育て支援は、

・困ってから相談
・問題が顕在化してから支援
・診断や二次障害が出てから介入

という「後追い型」が中心です。

しかし本来は、

・叱責が習慣化する前に
・親が無力感を抱える前に
・子どもの自己肯定感が傷つく前に

関わり方の土台を学べる仕組みが必要です。

ペアレントレーニングは、問題解決の最終手段ではなく、子育ての基礎教育であるべきだと当協会は考えています。

乳幼児健診や母親学級に組み込まれる未来。それが当協会の目指す社会です。

当協会は、「困難ケースを扱える団体」になることよりも、「困難ケースを減らせる社会をつくる団体」でありたい、そう考えています。

■まとめ

ペアレントレーニングは万能ではありません。魔法でもありません。

しかし、早期に取り入れることで、家庭を守る“予防的な力”になります。

もし今、

・子どもの行動が少し気になり始めている
・叱り方に迷いがある
・支援者として基礎を固めたい

そう感じているなら、それが始めどきかもしれません。

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