【療育現場支援力向上プロジェクト】10月の職員研修|子どもの「見えない負担」と「伝わる声かけ」を考える

一般社団法人日本ペアレントトレーニング子育て支援協会は、株式会社BUZZBUZZ(アオハル・うたのこ)および株式会社ウッドフィール(ライチ・レモン・ミックスベリー)と連携し、児童発達支援・放課後等デイサービス・学童保育における支援力向上を目的とした「療育現場支援力向上プロジェクト」を実施しています。

現場で働く職員の皆さんと、1年間をかけて学びを重ねるプロジェクトです。

10月は、2つのテーマで職員研修を実施しました。

第1回は「体験を通して考える、見えない負担」
第2回は「『伝えたつもり』を『伝わる』に」


一見すると違うテーマですが、どちらにも共通するのは、自分の感じ方や考え方だけで、相手を理解しようとしないことです。

今回は、10月の2回の研修で大切にした視点をご紹介します。

目次

10月第1回|体験を通して考える、見えない負担

「できる」と「負担なくできる」は違う

子どもたちと関わる中で、こんな場面はないでしょうか。

「昨日はできたのに、今日はできない」
「できるはずなのに、なかなか取りかからない」
「どうしてこんなに嫌がるんだろう?」

同じことをするにも、どれくらいの負担を感じるかは人によって違います。

周りからは簡単そうに見えることでも、本人にとっては大きなエネルギーが必要な場合があります。

反対に、大人が難しいと思っていることが、その子にとっては得意なことかもしれません。


「できるか、できないか」だけでは、その子が感じている負担まではわかりません。

10月第1回の研修では、こうした目に見えにくい負担について考えました。

子どもの行動だけでなく、その背景にも目を向ける

例えば、活動の切り替えが難しい子どもがいたとします。

「早く切り替えてほしい」と声をかける前に、少し考えてみたいことがあります。


次に何をするのか、本人はわかっているだろうか。

今の活動を終えるタイミングは伝わっているだろうか。

周囲の音や人の動きが、負担になっていないだろうか。


もちろん、理由は一人ひとり違います。実際の様子を観察しなければ、何が負担になっているのかはわかりません。

だからこそ、行動だけを見て判断するのではなく、その背景も考えることが大切です。

これは、9月の職員研修で学んだABC分析の視点にもつながっています。

関連記事:9月の職員研修|ABC分析から実践的な事例検討へ

10月第2回|「伝えたつもり」を「伝わる」に

同じ言葉でも、受け取り方は人それぞれ

第2回の研修では、コミュニケーションについて考えました。

テーマは「『伝えたつもり』を『伝わる』に」。

研修では、言葉だけで絵を描くワークなどを通して、同じ説明を聞いていても、受け取り方やイメージするものが異なることを体験しました。


例えば、

「ちょっと待ってね」

この「ちょっと」は、何分くらいでしょうか?


1分? 3分? 5分?

大人同士でも、思い浮かべる時間は違います。

ましてや、時間の感覚や言葉の理解には個人差があります。


伝えた側は「ちゃんと説明した」と思っていても、相手には違う意味で伝わっているかもしれません。

伝えたことと、伝わったことは同じではない。

日頃の子どもたちへの声かけを振り返る機会となりました。

子どもに伝わりやすい声かけの工夫

では、どうすれば伝わりやすくなるのでしょうか。

例えば、こんな言い換えが考えられます。


「ちょっと待ってね」

→「時計の針がここに来るまで待ってね」

「あとで遊ぼうね」

→「ご飯を食べたら、一緒に遊ぼうね」

「ちゃんと片付けて」

→「ブロックは、この箱に入れようね」


いつ、何を、どのようにするのか。

できるだけ具体的に伝えることで、次の行動を理解しやすくなります。

また、言葉だけで伝わりにくいときには、時計やタイマー、写真などを使う方法もあります。


ただし、どんな伝え方がわかりやすいかは子どもによって異なります。

大切なのは、同じ言葉を繰り返すことではなく、相手の反応を見ながら伝え方を工夫することです。

「わかった?」だけで終わらせない

「わかった?」

「うん」

そんなやり取りをしたのに、子どもが動き出さない。

子育てでも支援の現場でも、よくあるのではないでしょうか。


そんなとき、すぐに「言うことを聞いてくれない」と捉えるのではなく、

「説明がわかりにくかったかな?」

「次にすることがイメージできていないのかな?」

と、大人の伝え方を見直してみる。


必要に応じて、一緒に確認したり、実際にやって見せたりすることもできます。

子どもに理解を求めるだけでなく、私たち大人も伝え方を変えてみる。

今回の研修で大切にした視点の一つです。

子どもへの支援も、職員同士のコミュニケーションも

子どもたちへの支援と、大人同士のコミュニケーションには共通する部分があります。

自分にとって簡単なことが、相手にとっても簡単とは限らない。

自分が理解できる説明が、相手にもわかりやすいとは限らない。

これは、子どもと大人の間だけでなく、大人同士でも同じです。


児童発達支援や放課後等デイサービスの仕事は、チームで行うものです。

子どもたちへの関わり方を考えると同時に、職員同士がお互いの考え方や受け取り方の違いを知ることも大切にしたいと考えています。

5事業所で継続して学ぶ「支援力向上プロジェクト」

株式会社BUZZBUZZ、株式会社ウッドフィールでは、5事業所の職員の皆さんが、継続して研修に取り組んでいます。

日々の支援に加え、学びや振り返りの時間を設けることは、簡単なことではありません。

それでも、子どもたちへのより良い支援を目指して、職員の学びを継続する。

こうした取り組みを大切にされていることを、とても嬉しく思います。


このプロジェクトでは、ペアレントトレーニングやABA(応用行動分析学)の考え方を土台に、支援技術だけでなく、自己理解・他者理解、コミュニケーション、チームづくりにも取り組んでいます。

知識を学んで終わりではなく、

学ぶ → 考える → 実践する → 振り返る

この積み重ねを大切にしています。


また、5事業所が一緒に学ぶことで、それぞれの現場での経験や工夫を共有できることも、このプロジェクトの特徴です。

一つの事業所の中だけでは気づかなかった視点が、別の事業所の支援のヒントになる。

そんな学び合いを、これからも大切にしていきたいと思います。

子どもは変えなくていい

当協会が大切にしている言葉に、「子どもは変えなくていい」があります。

これは、子どもに何も教えなくていい、という意味ではありません。

子どもを大人の思い通りに変えようとする前に、まずは子どものことを知る。

そして、私たち大人の見方や関わり方、環境を工夫してみる。

10月の研修で考えた「見えない負担」も「伝わる言葉」も、この考え方につながっています。


子どもたち一人ひとりの違いを大切にしながら、保護者も支援者も安心できる環境をつくっていきたい。

そのために、当協会も引き続き、BUZZBUZZ・ウッドフィールの皆さまと一緒に学びを重ねていきます。

10月もありがとうございました。

アオハル(左)・うたのこ(右)
ライチ(左)・レモン(右上)・ミックスベリー(右下)

関連リンク

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【対象事業所】
・アオハル
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株式会社ウッドフィール

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【対象事業所】
・ライチ
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・ミックスベリー

一般社団法人日本ペアレントトレーニング子育て支援協会

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これまでのプロジェクトの取り組み

療育現場支援力向上プロジェクト始動|富山県内5事業所で1年間の取り組み

9月の職員研修|ABC分析から実践的な事例検討へ

法人・事業所向け研修について

一般社団法人日本ペアレントトレーニング子育て支援協会では、保護者支援や支援者育成、職員研修などに取り組んでいます。

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一般社団法人日本ペアレントトレーニング子育て支援協会

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