秋は、運動会や学習発表会、お遊戯会など、園や学校でさまざまな行事が行われる季節です。
子どもたちの成長した姿を見られる、楽しみな季節。
その一方で、この時期になると、
「行事の練習を嫌がる」
「学校や園に行きたがらない」
「いつもよりイライラしている」
「気持ちの切り替えが難しくなった」
「家に帰ると何もしたがらない」
そんな姿が増える子どももいます。
特に、発達障害や発達特性のある子どもにとって、運動会や学習発表会などの行事は、私たち大人が思っている以上に大きな負担になることがあります。
わが家でも、今まさにそんな時期を過ごしています。
息子が珍しく「学校に行きたくない」と言ったり、学校で気持ちの切り替えが難しくなったり。
家でもイライラすることが増え、宿題を「やりたくない」と言う日もあります。
食欲も一気に増えました。
一つひとつを見ると、別々の問題のように見えるかもしれません。
でも、最近の様子を見ていて思います。
たぶん、疲れているんですよね。

運動会や学習発表会は「いつもと違う」の連続
大人から見ると、「学校行事がひとつある」だけに見えるかもしれません。
でも、子どもの側から見てみるとどうでしょう。
行事が近づくと、普段の学校生活にはなかった変化がたくさん起こります。
いつもと違う時間割
いつもと違う教室や場所
何度も繰り返される練習
大きな音や音楽
衣装を着ること
決められた場所に立つこと
いつもとは違う順番で動くこと
長い時間待つこと
予定が変更されること
大勢の人と一緒に行動すること…
そして本番になれば、普段はいないたくさんの保護者や家族が見に来ます。
「失敗しないように」
「ちゃんとやらなくちゃ」
そんな緊張を感じている子もいるでしょう。
一つひとつなら対応できることでも、いくつもの「いつもと違う」が同時に重なると、それだけで大きなエネルギーを使います。
特に、見通しを持つことや予定の変更、感覚刺激、大人数での活動などに負担を感じやすい子どもにとっては、行事当日だけではなく、何週間も続く「練習期間」そのものがしんどいこともあります。
その前後の生活も含めて、子どもの様子を見ていくことが大切です。

子どもが普段できていることをしなくなると、大人は戸惑います。
「先週はできていたのに」
「家ではできるのに」
「頑張ればできるはずなのに」
「なんで今日はちゃんとやらないの?」
そんなふうに思ってしまうこともあると思います。
特に、困りごとが外からは分かりにくい子どもほど、「できるのに、やらない」と見られてしまうことがあります。
でも、「その力を持っていること」と、「どんな状況でも同じようにその力を発揮できること」は、同じではありません。
よく眠れていて、安心できる場所で、見通しが持てていて、心にも体にも余裕がある日。
疲れていて、予定変更が続き、大きな音にさらされ、何度も練習をして、緊張もしている日。
同じ子どもでも、使える力が同じとは限りません。
大人だってそうですよね。
疲れている日や余裕のない日は、普段なら簡単にできることさえ面倒になったり、ちょっとしたことでイライラしたりします。
子どもにも、同じことが起こります。
だから、「できるのに、どうしてやらないの?」ではなく、「いつもできることができないくらい、今は疲れているのかな?」と考えてみる。
それだけで、目の前の子どもの見え方が少し変わっていきます。

行事は「絶対に参加しなければならないもの」でしょうか
行事が近づくと、子どもだけではなく、親も焦ることがあります。
「みんな参加しているから」
「せっかくここまで練習したんだから」
「ここで休ませてもいいのかな」
「最後まで頑張らせた方が、この子のためなのでは?」
親自身が、いろいろな「べき」「ねば」に縛られてしまうこともあります。
もちろん、少し頑張ることで得られる経験もあります。
「できた」という経験が自信につながることもあります。
だから、何でも避ければいいということでもありません。
でも私は、行事は何が何でも参加しなければならないものではないと思っています。
大切なのは、「参加できるか、できないか」だけではなく、その経験から得られるものと、今のその子にかかる負担のバランスを見ること。
・全部参加する
・途中まで参加する
・苦手な活動だけ外れる
・別の場所で休憩する
・見学する
・当日は参加しない
「参加する・しない」の二択だけではなく、その子に合わせた参加の仕方、選択肢がたくさんあってもいいのではないでしょうか。
行事に参加できなかったからといって、それだけでその子の将来が決まるわけではありません。
今、目の前にいる子どもがどれくらいのエネルギーを使っているのか。
そこを大人が一緒に考えることの方が、私は大切だと思っています。

学校で頑張っているときこそ、家を「安全基地」に
学校や園でたくさんのエネルギーを使っている時期。
そんなときは、家庭まで「頑張る場所」にしなくてもいいのかもしれません。
わが家でも今は、家ではできるだけゆるく過ごしています。
宿題をしたくない日があってもいい。
ゴロゴロする時間が増えてもいい。
好きなことをして過ごしてもいい。
食べて、休んで、安心して過ごす。
家は、外で使ったエネルギーを充電する場所。
子どもにとって「ここなら力を抜いても大丈夫」と思える安全基地でありたいと思っています。
もちろん、宿題も勉強も大切です。
でも、疲れ切っているときにさらに頑張らせることだけが、子どものためとは限りません。
まず休む
安心する
エネルギーを取り戻す
充電できたら、また動き出せる日がきます。
勉強だって、学ぶ機会はこれから何度でもあります。
今この瞬間に全部できることよりも、その子が長い目で見て元気に育っていけること。
そんな視点も持っていたいと思います。

「なんでやらないの?」から「何がしんどいんだろう?」へ
ペアレントトレーニングでは、目に見えている行動だけではなく、「なぜ、その行動が起きているのだろう?」と考えていきます。
たとえば、「練習に参加しない」という行動があったとします。
その行動だけを見ると、「ちゃんと参加してほしい」と思うかもしれません。
でも、少し立ち止まって観察してみます。
・その前に何があった?
・どんな場所だった?
・大きな音が鳴っていた?
・予定が急に変わった?
・何をするのか分からなかった?
・長い時間待っていた?
・疲れていなかった?
・緊張していなかった?
そうやって見ていくと、「困った子」なのではなく、その子自身が何かに困っているのかもしれない、ということが見えてきます。
「学校に行きたくない」
「練習したくない」
「宿題したくない」
「切り替えられない」
「イライラする」
そんな姿が増えたとき、一つひとつを「直さなければならない困った行動」として見る前に、「この子、今しんどいのかな?」と考えてみる。
そして、「なんでできないの?」ではなく、「何が難しいんだろう?」と考えてみる。
それだけで、大人の関わり方も少し変わってくるのではないでしょうか。

「困った」が「そうだったんだ」に変わる
子どもの行動には、理由があります。
その理由は、一目見ただけでは分からないこともあります。
だからこそ、大人が少し立ち止まって、「この子には、今何が起きているんだろう?」と考えてみる。
すると、「なんでこんなことするの?」と感じていた行動が、「そうだったんだ」に変わることがあります。
子どもを無理に変えようとする前に、まず子どもの見え方が変わる。
保護者にとっても、支援者にとっても、大切な視点です。

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