奈良県三郷町にて、社会福祉法人三郷町社会福祉協議会様主催の児童発達支援の職員向けペアレントトレーニング研修(全7回)を実施しています。
9月18日の第1回に続き、10月2日に第2回、10月23日に第3回を実施しました。
今回は、第2回・第3回の研修の様子をご紹介します。
第2回|「見守る」に「観察」をプラスする
2026年10月2日(金)/テーマ:観察と環境調整
第2回は、子どもの行動を観察すること、そして子どもが「できる」ための環境を整えることについて学びました。
私たちは日々、子どもたちの様子を見ています。
でも、「見ていること」と「観察していること」は、必ずしも同じではありません。
例えば、「落ち着きがない」「集中できない」という言葉。
それだけでは、実際に何が起きているのか、どのような支援が必要なのかは十分にわかりません。
いつ、どこで、何をしていたのか。
行動を具体的に観察することで、子どもが困っている理由や、環境を整えるヒントが見えてくることがあります。

観察ゲームで気づいたこと
研修では、観察ゲームや事例検討を取り入れ、参加者同士で意見を出し合いました。
同じ場面を見ても、気づくことは人によって異なります。
一人では見落としてしまうことも、複数の視点を持ち寄ることで、新しい発見につながります。
参加者からは、
「観察によって、できる工夫が変わる」
「一人だと決めつけてしまう」
「長く関わっているからこそ、決めつけていた自分に気づいた」
といった声が聞かれました。
経験を重ねているからこそ、無意識に「この子はこういう子」と捉えてしまうこともあるかもしれません。
だからこそ、思い込みではなく、目の前の行動を丁寧に観察することを大切にしたいと思います。

子どもを変える前に、環境を整える
後半は、環境調整について学びました。
水遊びをなかなか終えられない子どもや、宿題に集中できない子どもの事例をもとに、どのような工夫ができるかを考えました。
子どもに「ちゃんとして」「早くして」と伝えるだけでなく、活動の見通しを持てるようにする、刺激を調整する、わかりやすく伝えるなど、環境や関わり方を工夫する視点です。
参加者からは、
「環境調整は親子どちらにとってもハッピー」
という感想もありました。
子どもだけが頑張るのではなく、周囲の大人ができる工夫を考える。
それも、ペアレントトレーニングで大切にしている考え方の一つです。
研修に同行してくれた当協会の上級ペアレントトレーニング支援士のお二人にも、環境調整のアイディアやグッズをご紹介いただきました。

畑ゆうきさん(京都府在住)

中田まきさん(奈良県在住)
第3回|子どもの「できている」を見つける
2026年10月23日(金)/テーマ:「できている」を見る〜肯定的な注目〜
第3回は、子どもの行動を3つのタイプに分けて考えることからスタートしました。
- 良い行動(増やしたい行動)
- 良くない行動(減らしたい行動)
- 危険な行動・許しがたい行動
日々の支援では、どうしても困った行動や危険な行動が目に入りやすくなります。
もちろん、安全に関わる行動には適切な対応が必要です。
その一方で、普段は見過ごしてしまいがちな「できていること」にも目を向けてみる。
今回は、その視点をさまざまなワークを通して体験していただきました。
「何を見るか」で、気づくことが変わる
私たちは、意識を向けた情報に気づきやすいものです。
子どもの「困った行動」ばかりに注目していると、すでにできていることを見落としてしまいます。
写真の中から「できている行動」を探すチーム対抗ワークを実施しました。
参加者同士で次々と意見が挙がり、会場は大いに盛り上がりました。

肯定的な注目は、子どもだけのものではない
後半は、見つけた「できていること」を相手にどう伝えるかを練習しました。
肯定的な注目とは、単に「すごいね!」と褒めることだけではありません。
例えば、感謝する、認める、興味を示す、笑顔を向けるなど、さまざまな伝え方があります。
研修では、参加者同士で実際に肯定的な注目を伝え合うワークも行いました。
普段はなかなか言葉にしない感謝や、相手の素敵なところを直接伝える時間。
笑顔や笑い声が広がり、温かな雰囲気になりました。
また、子どもだけでなく、大人に対して肯定的な注目を伝える練習も行いました。
子どもへの支援はもちろん、保護者や同僚とのコミュニケーションにも活かせる考え方です。
参加者からは、
「問題行動はいったん置いておいて、できているところを見よう、という言葉が響いた」
という声も聞かれました。
子どもの困った行動に悩んでいる保護者の方に、できていることにも目を向ける視点をどう伝えるか。
今後の保護者支援にもつながる学びとなりました。

学んで終わりではなく、日々の支援へ
今回の研修では、前回の学びを家庭で実践したという報告も多数ありました。
研修で学んだことを振り返り、実際の生活や支援の場で試してみる。
そして次の研修で、その経験を共有する。そんな積み重ねを大切にしています。
参加者の皆さんは毎回、積極的に意見を交わし、互いの考えを受け止めながら学びを深めてくださっています。
一方的に知識をお伝えするのではなく、現場での経験や工夫を持ち寄り、一緒に考える時間になっています。
★第1回〜第3回の研修風景を動画でご紹介
これまでの研修の様子を短い動画にまとめました。参加者の皆さんが意見を交わし、楽しみながら学ぶ様子をぜひご覧ください。
「子どもは変えなくていい」
当協会が大切にしている言葉です。
子どもを無理に変えようとする前に、行動の背景を知ること。
できていないことだけでなく、できていることに気づくこと。
そして、子どもが力を発揮しやすい環境や関わり方を考えること。
これからも、現場の皆さんと一緒に学びながら、子どもたちと保護者の方々を支える取り組みを続けてまいります。
研修を主催してくださっている三郷町社会福祉協議会の皆さま、ご参加いただいている職員の皆さま、ありがとうございます。

【研修・講演について】
一般社団法人日本ペアレントトレーニング子育て支援協会では、児童発達支援・放課後等デイサービスなどの福祉事業所、保育・教育機関、自治体、子育て支援機関等を対象に、ペアレントトレーニングをベースとした職員研修・講演を行っています。
研修内容や時間、対象者に合わせて内容を組み立てています。
職員研修・講演をご検討の方は、当協会ホームページのお問い合わせフォームよりご相談ください。

