「私が生まれたとき、どう思った?」
「私の長所って?」
40歳になって、初めて父にそんな質問をしました。
親子だからこそ、照れくさくて聞けないことがあります。
知っているつもりで、聞かずにきたこともあります。
今回、思い切って聞いてみるきっかけになったのは、あるワークショップでの対話でした。
いつもは聴く側の私が、聴いてもらう側に
先日、ひょんなご縁から、メンタルコーチ&トレーナーの馬場真一さんのワークショップに参加しました。
普段の私は、保護者の方や支援者の方のお話を聴く側です。
今回は、自分のことを話し、聴いてもらう時間。
そこでまず驚いたのは、初めて会った人と、こんなにも深い話ができるのだということでした。
安心して話せる場で、言葉を急がずに聴いてもらう。
話しながら、「私、こんなことを考えていたんだ」と、自分自身の思いに気づいていく。
聴いてもらうことが持つ力を、改めて感じました。
印象に残ったのは、「自己理解→相互理解→相互支援」というお話です。
自分を知ることは、一人で自分の内側を見つめることだと思いがちです。
でも、それだけではありません。
誰かに話したり、問いかけてもらったり、相手の言葉を受け取ったりする中で、初めて見えてくる自分もいる。
自己理解は、誰かとの関わりの中でも深まっていくのかもしれません。

自分の答えが、誰かの話の中にあった
面白かったのは、自分が話しているときだけに気づきが生まれるわけではなかったことです。
別の方の話を聴いているときに、ふと、自分が探していた答えにつながる言葉に出会う。
その方は、私に向けて話しているわけではないのに、「ああ、そういうことか」と、自分の中で何かがつながる瞬間がありました。
人の言葉や表情、その場の空気、言葉になるまでの間。
同じ場にいる人たちと対話する時間の豊かさを感じた体験でした。
馬場さんが大切にされている、自分の「ど真ん中」という視点にも共感しました。
何をするかだけでなく、どんな自分で人と関わるか。
支援に携わる私自身も、立ち返りたい問いです。

40歳で、初めて聞けたこと
ワークショップでは、親との関係や幼少期の経験を振り返る話にもなりました。
それをきっかけに、私も親に、自分が生まれたときのことや、私の良いところを聞いてみることにしました。
正直、私にとっては、とてもハードルの高いことでした。
普段は人に質問する仕事をしているのに、いざ自分の親に聞くとなると、こんなにも照れくさい。
一人だったら、きっと聞かないままだったと思います。
父は、私が生まれて嬉しかったこと、ずっと見ていても飽きなかったことを教えてくれました。
私の良いところとして、目標に向かって努力するところも挙げてくれました。
そして、幼い私が新聞を持ってきて父に手渡したときの思い出を、一生忘れないと話してくれました。
父の中に、そんな私の姿が残っていたんだ。
40歳になって、初めて知った父の思いでした。
聞くまでは勇気がいりました。でも、聞けてよかった。
長い時間を一緒に過ごしてきた相手にも、まだ知らない思いや、聞いたことのない話があるのだと感じました。

聴くことは、その人の力を応援すること
今回の経験は、普段、私がお話を聴く中で感じていることにもつながりました。
話を聴いていると、その方自身が言葉にしながら、気持ちを整理したり、大切にしたいことを見つけたりする場面があります。
私が何か特別な答えを渡したわけではありません。
その方が、自分で考え、気づき、次の一歩を見つけていく。
聴くことは、そのお手伝いです。
もちろん、困っているときには、具体的な情報や方法が必要なこともあります。
そのうえで、その人の中にある考える力や、選ぶ力も大切にしたい。
私が傾聴するときに心がけているのは、その方が本来持っている力を応援することです。
今回は自分が聴いてもらう側になり、その意味を改めて実感しました。
ペアレントトレーニングでも、対話を大切にしています
当協会のペアレントトレーニング講座でも、参加者同士の対話を大切にしています。
同じ子どもの行動について考えていても、見えていることや、思い浮かぶ関わり方は人によって違います。
「私はこう考えたけれど、そんな見方もあるんだ」
「話してみて、自分が何に困っていたのか分かった」
誰かの話を聴くことで、選択肢が増えます。
自分の経験を言葉にして、初めて気づくこともあります。
当協会のスローガンは、「子どもは変えなくていい」
子どもの行動をすぐに変えようとする前に、大人が見方を広げ、関わり方を考えてみる。
その学びを深めるうえでも、対話は大切な時間です。
講師の説明を聞くだけで終わらず、自分で考え、言葉にし、他の人の視点にも触れる。
そんな時間を、これからも大切にしていきたいと思います。

伝える立場だからこそ、学び続ける
講座や研修でお伝えする立場になっても、学びに終わりはありません。
日々の仕事から少し離れ、研修やワークショップに参加する。
聴く側、学ぶ側に戻ることで、普段の自分の関わり方を見つめ直す機会にもなります。
今回、何かを選ぶことは、同時に別の何かを手放すことでもあるのだと改めて感じました。
一日の時間には限りがあります。
誰と、何をして過ごすのか。
今回の対話の時間も、勇気を出して父に質問したことも、私にとって大切な選択になりました。
そこで得た気づきを、講座や支援にも生かしていきたいと思います。
身近な人に、一つ質問してみませんか
よかったら、安心して話せる身近な人に、いつもは聞かないことを一つ、聞いてみませんか?
相手は親でも、パートナーでも、友人でも。
お互いに話せそうなタイミングで、答えたいと思える質問を選んでみてください。
例えば、こんな質問です。
「私のいいところって、どんなところだと思う?」
「一緒に過ごした中で、印象に残っていることは?」
返ってきた言葉には、すぐに評価やアドバイスをせず、まずは最後まで耳を傾けてみる。
もう少し聞きたくなったら、「そのとき、どう感じていたの?」と尋ねてみてもいいですね。
自分について聞くことが照れくさければ、相手の話を聴くところからでも大丈夫です。
知っているつもりだった相手の思いや、自分自身の姿に出会えるかもしれません。
実際に話してみた方は、よかったら公式LINEへ、感じたことを教えてください。
皆さんの気づきを聴かせていただけたら、嬉しいです。


